AI vs ピアニスト

先日、開催した練習会でのこと。開始時間に少し早く着いたのでスタジオ料金の支払いを済ませ音楽雑誌の特集を読んでいたら次のようなコラムが掲載されていました。

AIの発達で近い将来、相当数のピアニストが廃業に追い込まれる、という内容でした。

AI到来で消滅する仕事などがネットニュースや書籍に挙げられますが、ピアニストもどうやらその中に入ってしまうようです。恐いですね。

AIの予測プログラムで人間の個性的な演奏が再現できるということが理由のようです。

これは本当にそうなるかな?っと読みながら考えました。

古くはモーツアルトが「アダージョとアレグロ (自動オルガンのための) K.594 ヘ短調」という曲を作曲しています。近年では、演奏至難で知られるアルカンの練習曲などを演奏したミヒャエル・ナナサコフ(自動ピアノ)等があります。

自動演奏の歴史は古く、鍵盤楽器の中身は機械なので自動化に結構向いているんですね。

今度はAIがその場のシチュエーションで演奏を変えることが出来るのでもはや人間は要らない、ということなのです。

話は変わりますが人間にはミラーニューロンというものが存在することが分かっています。

ミラーニューロン

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314010559

他の人が演奏するとまるで自分が演奏しているように関連するニューロンが活性化するということです。なるほど確かにピアノ演奏を聴くとああ、ここはこう弾いているんだな、とか前より良くなっている、あの練習をしたからかな等、音楽を聴くだけでなく演奏している人のことまで分かってしまいます。その人の演奏技術レベルを瞬間的にサッチしてランクづけてしまうという悪癖もピアニスト(音楽愛好家全て?)にあるようです。

AIの演奏を聴いた時、我々のニューロンはどう働くのでしょうか?これは大変興味があります。

AI自動ピアノは機械なのでどんな難しいパッセージもいとも簡単に弾いてしまうに違いありません。しかしアンサンブルで人間が合わせるようにAIが合わせてくれる、人間が間違えるように弾く、難しい個所はゆっくり弾いてみる、などしてもニューロンは、「これは何か違うな」と感じるよう神経が発達していくのではないかと思うのです。

こういう近未来の事を描いている興味深い作品で「ブレードランナー」、「マトリックス」、「攻殻機動隊」、「ターミネーター」等があります。芸術の想像力は、科学の何十年、何百年も先に行くことがありこれらの中に何らかの解答があるのではないかとよく考えることがあります。

私見では、「フィフス・エレメント リュック・ベッソン監督」に出てくる中国人のようにピアニストたちは、高度に発達したAIが搭載されたアンドロイドが量産されてもしぶとく生き残っているものと思います。

AIが出来ないことの一つに「自分が今、弾いていることの喜び」「努力が報われた時の達成感」などを上げることが出来ます。これが超超高齢化社会を迎える先進国の人に重要になって来る、と考えられます。

カラオケのようにAIを使うことは考えられますが、コストパフォーマンスの問題があるのでわざわざ使うか疑問です。スタジオでAI演奏のオケパートを練習ということはありかも知れません。

世の中には人間無用論を唱えるAI本が多数出てきておりますが、下記のような書籍もあります。インターシフトの発行するサイエンス本は結構質の高いものが多く要チェックです。

アナログの逆襲

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784772695626

2019年1月17日作成 志木市中宗岡 渡辺修司


渡辺音楽教室

埼玉県志木市中宗岡にある音楽教室です。楽譜の読み方から高度な演奏法まで丁寧にやさしくお伝えします。

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