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速く ヘ長調

オクターブトレモロのスタッカートから入る前奏。左手和音のレガート。オクターブのリズム。

全編にわたりオクターブや和音の連打が続くので難易度が高くなり力の弛緩が出来てないと直ぐ疲労してしまいます。

パートA

右手のオクターブトレモロによるテーマ。左手和音の連打による伴奏。

森の静けさを表現するためにもソフトペダルとダンパーペダルを少しずつ踏んだほうがよいでしょう。

クリシェで移り変わる音。上声部に表れるメロディーを引き立たせると効果的です。

パートB

ここからニ短調に転調。メロディーが左手に移ります。右手は、オクターブの連打と和音。疲労が蓄積しやすい箇所です。

5小節から両手で曲を盛り上げます。一時転調を繰り返し最高潮に達した後、Aパートの再現部。

Cパート

ここから実質的に長いコーダに入ったと見ていいと思います。

前奏のリズムモチーフが形を変えてでてきます。同主短調の借用音が使われ転調しているような雰囲気がありますが曲調からヘ長調のままです。

和音の連打。パッシングコードを含んでいるので音に注意。

クレッシェンドからスフォルアンド。その後のピアノ。フォルテとスフォルアンド。ピアノ。など急激な音の変化。

最後の5小節でクライマックスにもっていきます。両手ともオクターブの連続でパッシングコード、トーンを挟みながら盛り上げます。

全部をフォルテで弾くのではなくクレッシェンドとデクレッシェンドなどを巧みに使いスリル感を出します。ラスト2小節は、フォルテで締めくくります。

やや速く、やさしさをもって イ短調

メンデルスゾーンの春の歌を彷彿させる装飾音。同主短調にしたのは意識して書いたのかもしれない。

メロディーはソプラノのあり歌わなければならないがアクセントやスタッカート、スフォルツアンドなどがついており必然的に固めの音楽になる。

バスは、装飾音と跳躍があるが丁寧に弾きたい。

ペダルは、スタッカートを活かすため短めのほうが良い。

Aパートは、ホ短調で終わりドミナントの役割を担ってイ短調のテーマが繰り返される。

Bパート

ハ長調から始まる。フォルテとピアニッシモの対比を明確に。また装飾音にパッシングコードがあり面白い。

歌い上げてイ短調で終止する。

二回目繰り返し。厚い和音でフォルテが強調される。

コーダ

テーマが主音に替わり終わりを強調。最後まこでイ音で締めくくる。

活発に、速く ハ長調

スケールで出来ているフレーズを速く弾く練習。この曲集の中でも練習曲っぽい作品集。

右手の速いパッセージに吊られて急かされないように左手でしっかりテンポを維持していく。

3指と4指で親指をくぐる、またぐところがあるので運指に注意。

左手は、1、4拍目の重音をアクセント気味に。5指は連打。

Bパート

ソプラノ下降形とバス上向形の掛け合い。量のクロス。

途中、ハ短調に転調。左手は、和音の連打。リズミカルに歯切れ良く。

そして変イ長調を経過してG7ドミナントの経過区でハ長調に戻っていく。

最高潮にいたる下降の音階は三拍子になる。拍が変わってもテンポを保つよう落ち着いて弾く。

スフォルツアンドから急激に小さくなり再現部へ。

二回目繰り返しより借用和音を挟み音形が変化していく。

コーダ

半音階の音形と左手の伴奏。裏拍にアクセントがくるので注意。

最後はスフォルツアンドの連続で豪快に終わる。

音を保って、歩くような速さで 変イ長調


きれいなメロディーラインを4、5でレガートに弾く練習。

アルトには伴奏が入り弾き分けが必要。


オクターブのバス音と高い♭eのアクセント。バスはテヌートして音を保ち♭e音は、鐘の音を暗示するためタッチに工夫が必要。


二回目繰り返し。ソプラノのメゾスタッカートからソプラノとアルトの二重唱。歌の掛け合い。


バスの音と伴奏形の弾きかた。歌を盛り上げるように弾く。


フォルテッシモで最高潮に達する。3小節目のアクセントは、強めの鐘。


弱くなりながら5小節の長い経過区。


メゾスタッカートと32分音符の扱い。16分音符のレガート、その後の下降するスタッカートの抑揚。


左手もしっかり歌うように。


Aパートの再現からコーダ。


コーダは名残惜しそうにディミュニエンド。


最後はメゾスタッカート、ピアニッシモで終わる。

速く活発に ホ短調

両手のトレモロ練習。

左手のトレモロは、技術的に難しく疲労しやすい。親指と反対軸、手首の回転と橈骨と尺骨の連動が上手くいくよう練習する。

メロディーは、右のアウフタクトの音にあるが左手バスのラインも対旋律として歌い上げる。また7小節目の左手のように音が旋律的に変わるところは、浮き立つように弾く。

ペダルは音の変化と共にこまめに踏み替えるほうが良い。

Bパート

ト長調に転調。半音のパッシングノートを伴って徐々に盛り上がっていく。最後はホ短調のドミナントセブンに至り最高潮に達する。

Aパートダッシュ

3小節目、ポコリテヌートの9度の音に注意。

コーダ

ホ音のベダルポイント。和音の展開形が続きフォルテで終結する。

アンダンテよりやや速く、動きをつけて ヘ長調

右手、ソプラノとアルト。左手、バス。の三重奏の曲。

ソプラノは、広い音域の旋律をピアニッシモで歌い上げなければならない。

装飾音の入る前の音は、レガートで音を繋げながら指替えするが内声の旋律を保ちながら弾かなければならないので難易度が増す。

バスは、同じ音形が続くがレガートで弾けるよう指使いを工夫する。最低音を十分に保持して全体の響きを出していく。

長めペダルが必須。ハーフペダルで踏み替えをこまめに行っていく。

Aパートは二回繰り返す。

Bパート

借用和音を挟みながら感情的な揺さぶりがある。表現的にもフォルテで歌い上げていく。

装飾音の前に前代音があるので突出しないようレガートで弾く。

二回繰り返した後、コーダへ続く。

短いフレーズが折り重なるように展開して静に終わる。

バスは、最後に動きを見せるのでソプラノと良くハモるよう歌い上げる。

やや速く ハ長調

8小節の前奏。

途中、セカンダリードミナントが入るのでト長調に聴こえる。

曲全体を通して重音トレモロの練習。7度4度なので手の小さい人には少しきついかも。

練習していると手が開いてくるのでゆっくり練習することをおすすめする。

スタッカートで弾く前にレガート。二つの音形を和音として弾く練習。またはアルベジオで分散する練習も効果がある。

運指に大変良い効果があるので余裕があったら左手で弾いておきたい。

左手はスタッカートとリズム、アクセント、バス音に気をつけて弾きたい。

9小節目からテーマが始まる。左手の二拍目が重音となる。メロディーラインに注意したい。

パートAは、二回繰り返される。

パートB

臨時記号のある刺繍音とスフォルツアンドの表現を効果的に弾きたい。

このパートも二回目繰り返される。

最後はコーダ。

借用和音の表現。上向形のトレモロ。左手のスラー&スタッカートにクレッシェンド、アッチェレランド。最後は、技を見せた後、スフォルツアンドで豪快に終わる。

歩くようなはやさで、やさしさをもって ト長調

曲のテンポは、遅めだが右は16分音符、オクターブのアルベルテイバス形。左手もオクターブに近い音域を扱うのでわりと忙しい。

アルトがメロディー担当。ソプラノがメロディーの周りを動くので浮き立たせるのが難しい。

手首の回転をさせながらメロディーと伴奏を弾き分けるテクニックを要求される。

左手は、スタッカートから伸ばすテノールとバスの弾き分け。

両手の音色を聴きながらペダルを上手く踏み分けること。

4小節目に出てくる半音階は、次に左手テノールに引き継がれる。バスをしっかり伸ばしながら1、2でレガートを弾かなければならない。

最後は、二重唱となってAパート終了。

Bパート

ソプラノがメロディー、アルトが伴奏となり5、4で旋律を浮き立たせるように弾く。

バスは、メゾフォルテのオクターブから。旋律的にメロディーとの絡みがふえる。

4小節目、スタッカートからフォルテ。gマイナーⅥの借用で少し感情的に強い表現となる。

その後、さらさらと水が流れる音。

そしてAパートが繰り返しされる。

繰り返し二回目最後からコーダ。

メロディーの展開形と半音階。

最後は、上向形のアルベジオできれいに静かに締めくくる。

半音階やパッシングコードの扱いが絶妙な曲です。


あまり速くなく ハ短調

二拍目のアクセントやメジャーセブンの和音で終わる独特の終止がエキゾチックな雰囲気を生みます。

2小節の和音のテーマが4回繰り返された後、E♭メジャーセブンの和音で終わる奇妙な感覚。フォルテピアノのスタッカートの弾きかたも工夫が必要。

和音のスタッカートと左手の三度重音。右手オクターブトレモロなど多様な技巧が要求されます。

Bパート

変ホ長調で始まります。和音進行の後、3度音から始まる音階。終止のモチーフ。ハ短調に戻り下降する音階。一旦終止した後、変ホ長調の終止モチーフが執拗に繰り返されます。

Cパート

最初のテーマが二回繰り返されフォルテツシモでハ長調に転調。最高潮に達します。スフォルツアンドロイドのところスタッカートとレガート和音の弾き分け。装飾音のスタッカート、三連符のニュアンスの弾き分け。

二回繰り返された後、1、5、1、5の和音でハ短調へ転調。オクターブの強奏後、ディミヌュエンドしてテーマへ。

二回繰り返し右手の音形を引き継いでドミナントモーションで2の和音のアルベジオ下降に突入。最初のスフォルツアンドの表現は、工夫が必要。

最後は属七から主和音へ。ピアニッシモから消えるようにだんだん遅く。二回目のアクセントは、曲の雰囲気を決める重要なファクターです。

音がテヌートされ最低音で終わります。

ややはやく ト長調

4分の3拍子。

前奏。弱起の弱起から始まるリズムの難しい曲。伴奏も弱起から入るため二拍子だと錯覚させる。すぐにスラー&スタッカートの連続で打ち消され三拍子に戻る。

Aパート

テーマが三拍目から入る。この前は、十分に息を吸って間を取りたい。

1オクターブ以上の音域を自由に駆け巡る装飾音を伴った華麗な旋律。ワルツ風の伴奏形成が家路を急ぐ羊飼いの楽しい気持ちを表しているかのよう。

装飾音は必然的に34で弾かなければならない。いきなり前打音として弾くのではなく三連符や十六分音符で音価を変えて練習すると良い。

左手伴奏は、バスの音がスタッカートで雑にならないようしっかり腕の重さを乗せて弾く。

Bパート

ロ短調に転調。旋律は、装飾音を伴ったスタッカートの旋律。

伴奏もスタッカートで歯切れ良く弾きAパートと対比させる。

最後は、ニ長調で終わりAパートのテーマが出現する。

Cパート 力強く

フォルテで壮大に弾く。符点16分音符の陽気なリズムから上に上がって降りてくる旋律。スフォルツアンドのニュアンスを大切に。

一回目、単音。二回目は三度。三回目は、六度重音の練習。

スタッカートの伴奏、対旋律で締めくくる。

第二カッコからコーダに入るための経過句。

一時的な転調を伴ない調が二転三転する。

コーダ

Aパートのテーマから入る。その後、主和音のアルベジオ。スタッカートのニュアンスをよく弾き切る。

最後は半音階のパッセージと左手のオクターブで壮大に終わる。

中ぐらいの速さで ハ長調

32分音符の音階パッセージ。弱音で軽やかに素早く弾く練習。

粒をそろえて軽く弱く弾くのは技術を要する。

左手は、和音で音楽を支えるが右手がきれいに響くためには、左手の和音をしっかり押さえて弾く必要がある。特にバス音。

また伴奏と言えども歌うように弾けなければならない。

アウフタクトで入る八分音符は、後に続く音階にメロディーとし聴こえるようテヌートぎみのアクセント。

音階はこのメロディーがまるで延長されたかのように弾く。

音階ある和声外音は、経過音だが途中濁らないようベダルを踏み替える。

音階最後についているアクセントは、遠くでなっているように。

中間部からはト長調に転調。

音階は、下降形に変わる。

アウフタクトの8分音符と装飾音は、弾き分け音階が歌に聴こえるように弾く。

PPの最高音は、遠くで響いているかのように。

スタッカートの表現は、上向形の時とは変える。

中間部最後は、急なスフォルツアンドから入りフォルテで次の壮大な感じを喚起させる。

再現部は、FF。壮大な海原を感じさせるように。

右のメロディーの表現とスタッカートのタッチを変えて弾く。

だんだん弱く優しくなっていく。

コーダに入りどんどん弱くなっていく。ミソ ミド、ミラソ ミドの弾き分けを効果的に。二回目はPPP。

そして最後、最弱音からフォルテへ急激にクレッシェンド。途中のスタッカートは、両手でハモるようによく合わる。

最後は大団円で締めくくる。

ブルクミュラーの18の練習曲は、25の練習曲ほど有名ではないが子供や初心者の為に良く練られて書かれた秀作です。

レベル的には25の練習曲より難しくソナチネと同じ程度の曲集です。

但し全曲2ページで曲が収まってしまう手軽に弾ける曲集です。

第一曲目のこの曲は、ハ長調で書かれています。

課題は、曲中、連綿と流れる三連ら符アルベジオの練習とソプラノとバスの大旋律の歌わせ方。減7の和音の扱い、ペタリング。

和声外音も多くなってきているので濁らないようにきれいにペダルを切り替える技が要求されます。

曲冒頭、右手のソプラノの旋律は三連符を伴っており4、5の指で弾くため弱くなりがちです。よくメロディーが浮き立つようにしっかり弾く必要があります。

レガートがかかっているので歌わせるのはなかなか難しいです。

しかもバスの音域が広くソプラノを支えながら歌っていかなければなりません。

パッシングコードや借用和音の扱い。テンションノートなど理論的にも面白い曲です。

繰り返し最後は、Cメジャーのアルベジオ。5の指でレガートを掛けていくところは指とペダルで音をつなげます。

中間部は、三連符が左手に移ります。バス音が経過、半音階的にハ短調に移調されます。

ソプラノのちょっと感情の荒くなった旋律と対比させながら弾くと良いでしょう。

スフォルツアンドの表現。二回目の装飾音の入れ方は、工夫が必要です。

4小節目から左右の役割が替わります。ソプラノの三連符の2、3目の半音はきれいにクリアに鳴らすと聴きばえします。

半音的に展開、盛り上げていきながらG7コードで最高潮に達します。

再現部も二回繰り返しが要求されています。

二回目最後からコーダに入っていきます。

静かにピアノで歌い上げます。

最後はマイナーサブドミナントの和音でCメジャーで締めくくります。

両手のアルベジオがきれいに響くようにベダルも必要に応じて浅く踏み変えます。