脳にピアノ地図をつくる 緊張と弛緩 その4

ペンフィールドの脳内マップをご存知でしょうか?

脳神経外科医であったペンフィールドがてんかん患者の治療のため、脳と体のどの部位が対応しているかを調べホムンクルス(小人)の姿に表したものです。

手や口が大きく足が小さい異様な姿の小人の絵を見た人は多いと思います。

初心者がピアノの前に座ると頭が真っ白になってしまうのはこのピアノ地図が脳内にないからです。

ピアノの鍵盤が12平均律で白と黒に規則正しく並んでいることに気づくのにどれくらい時間がかかるでしょう。

この脳内マップを構築するには一つ一つ基本から経験していくしか方法がありません。

この脳内地図をピアノマップと名付けたいと思います。

真ん中のドをタッチしたらこういう音がする。鍵盤の重さ、手触り。ハ長調の音階を弾いたらこんな感じ。アルペジオだったらこう。

譜読みとも連動する必要があります。この楽譜に掛かれている音符はこれくらいの長さ、強さで場所はここ、など。

簡単な曲でも初心者が体験する情報量は、圧倒的量なので全身全霊で挑まなければなりません。当然、力は入ってしまいます。

この不要な力を取り除くためには一つ一つ力の入れ方、譜面の読み方、音型、強弱、曲の形式、鍵盤の重み、手触りなどを学び、反復練習を行っていく必要があります。

何にも考えることなく簡単にその曲が弾けるようになったら脳内にピアノ地図が少し形成されたということになります。こうなるにはそれなりの時間が掛かります。

ピアノの曲は無数にあり難易度の高い曲は、とてつもないレベルの技術を要求するものもあります。

どんな難易度の曲でも1日あれば、または初見でそれなりに弾けるようになるためには、それはそれは膨大な量のピアノマップが脳内にないといけないのです。

なので曲の難易度が増すとまた力を入れて弾くということはよく起こりがちです。こういうことを幾度も繰り返しようやく最上級のテクニックを得ることが出来ます。

骨芽細胞と筋肉の破壊と再生、そこから起こる微量の電気信号、化学物質による神経の活性化、そして脳内マップの形成があって初めて楽に弾ける技術が養われていきます。

ちなみにこのピアノマップ。バイオリンやフルートには使えません。多少生かされているかもしれませんが全く違う種類のことをやるってかなり手ごわいです。

バイオリンにはバイオリン地図、フルートにはフルート地図の構築が必要です。

ピアノ地図が使えるのは同じ鍵盤族のチェンバロやエレクトーン(足は覚えないといけません。)、パイプオルガンなどです。

ですが同じ種類の楽器やその他をやることはあまりお勧めできません。

脳内マップはある程度のレベルまで発達させることは出来るようですがやりすぎると脳内マップと体の不一致が始まり正しく動作が行えないようになります。

これが演奏家を悩ませるフォーカルジストニアです。

フェルデンクライスは違う動きをすることで体に気づきを与え脳内マップを正しく配置しなおす。という考え方を説いています。

このような病気になるのを防ぐためもありバイオリンやフルートを始めました。楽器特有の筋肉痛がありますが手を鍛えることが出来ると思うと心地よい感じです。

渡辺音楽教室

埼玉県志木市中宗岡にある音楽教室です。楽譜の読み方から高度な演奏法まで丁寧にやさしくお伝えします。

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